筋トレには、直接的な血糖降下作用がある
糖尿病対策として、これまで筋トレについてお話してまいりました。
筋トレによって筋肉量を増やし、体脂肪の少ない身体を造る。これは確かに理想なのですが、相当真剣に取り組んでも、なかなか筋肉量は増えません。一般に、筋トレを始めて最初の3ヵ月はほとんど筋肉量が増えないことが分かっています。
筋トレを続けるうちに、扱う重量が増えたり、反復回数が増えたりするものですが、実は、これらは筋量が増えた結果ではなく、神経系の発達によるものなのです。
ところが実際には、筋トレを始めて2週間もすると血糖値が低下し、4週後にはHbA1cも低下します。つまりこれは、筋トレには慢性的な筋量増加による効果だけでなく、もっと直接的な血糖降下作用があるためだと考えられます。
図1・2は、肥満傾向にある2型糖尿病患者さんに食事療法(25~30kcal/kg)と週3回の筋力トレーニングを指導した時の空腹時および食後2時間の血糖値の推移を示したものです。
前述したように1ヵ月ぐらいでは、ほとんど筋肉量は増えていないと思われますが、空腹時・食後2時間とも血糖値が明らかに低下しています。
さらに図3のようにHbA1c(JDS)は8週後では約2%近く低下しています。現在、注目されている経口糖尿病薬のDPP4阻害薬を投与した場合でも、一般的に3ヵ月で0.8%程度の改善度であることを考慮すると、筋トレの効果には目を見張るものがあります。